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2010年7月15日木曜日

レイノー現象とは

レイノー現象は, 1862年Maurice Raynaudにより報告されました。寒さ、冷たさの刺激で引き起こされ、手の指が蒼白,紫色そして赤と変化し,10~30分で正常に戻る現象です。この現象は、寒冷や感情的なストレスにさらされるとそれが引き金となり、手の指の動脈が急激に収縮し細くなり閉塞を起こし、指先に血液が巡らなくなり蒼白(ロウのように白くなる)となり起こります。この現象の主要因子としては神経伝達や血管内皮細胞の反応の障害が考えられていますが、血中の細胞より産生されたホルモンやメディエーターの血管内皮細胞に対する作用も重要と考えられています。典型的なレイノー現象は、この蒼白に続き青紫色(チアノーゼ)と発赤と3色に変化するとされていますが、実際は3色揃うことはまれです。また色調の変化だけでなく発赤中(血流が戻ってくる時期)には、しびれ感や時として疼痛を感じます。 この現象は手指に好発しますが、手のレイノー現象のある患者さんの40%で足の指にも症状が出ているとされ、なかには臓器(心臓、腸管、網膜など)に起こることもあります。レイノー現象は何らかの原因疾患を伴わない健康な人に認められる一次性レイノー現象と他の疾患に伴って起こる二次性レイノー現象に分類されます。一次性レイノー現象は一般人口において女性の5.8%~20.2%、男性の4.1%~12.7 %に存在するとされています。レイノー現象が膠原病の一症状であるかは、膠原病の診断において非常に重要であり、一次性レイノー現象であるかどうかを確実に判断する必要があります。一次性レイノー現象は若年女性に好発し、手指の潰瘍・壊疽は認めないか、あっても表皮に限られる事が多とされています。逆に、指の先端部の皮膚の潰瘍化(陥凹形成)あるいは壊疽、爪郭(爪のあまかわ)の毛細血管の異常、リウマトイド因子(RF)、抗核抗体(ANA)、赤血球沈降速度(ESR)促進などの所見のある一次性レイノー現象の患者さんは、膠原病が発症する危険性が高いとされています。

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