2011年リウマチ・膠原病教室のお知らせ。
膠原病(こうげんびょう、connective tissue disease:CTD、 Collagen disease)とは、一般に ①関節や筋肉・靭帯などの痛みを主な症状とし、発熱・倦怠感・レイノー現象などをともなうことがあり、②自分の免疫のシステムが自分を攻撃しておこる自己免疫疾患で、③その炎症の主な場が間質(細胞と細胞の間の組織)である病気の集団をさす名称です。 それらの疾患には、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性硬化症・全身性強皮症(SSc、PSSともいう)、皮膚筋炎(DM)、多発性筋炎(PM)、関節リウマチ(RA)、結節性多発性動脈炎(PN)、混合性結合組織病(MCTD)、シェーグレン症候群(SS)、顕微鏡的多発血管炎(MPA)などがあります。 膠原病は、その診断・治療に専門的知識を要することより、現在では日本リウマチ学会が定めるリウマチ専門医が主に診療しています。 膠原病は、難しい病気、恐ろしい病気と捉えられがちですが、ここでは、一般の方を対象に、そんな病気をやさしく解説し、また、役に立つトピックスを載せていくつもりです。杏雲堂病院内科・リウマチ科 山中健次郎
2011年9月15日木曜日
2011年7月20日水曜日
痛風
関節中の尿酸という物質濃度が高くなり、溶けなくなった尿酸が針のような結晶を作り関節炎を起こす病気です。風が当たっただけでも痛むところから命名されたとされます。痛風の歴史は古く、エジプトのミイラの関節に認められたという報告がありますし、西洋ではアレクサンダ-大王、ルイ十四世、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ビンチ、ゲ-テ、ニュ-トン、ダ-ウィンも痛風に苦しみました。皆、豪華な物を食べていたのでしょう。日本では明治になって初めて出現し、戦後急激に増え、現在では全国に数十万人の患者がいると推定されています。
痛風にかかるのは90%以上が男性で、初発症状は、ほとんどの場合、突然足の親ゆびの付け根の関節炎を起こし、赤く腫れて痛みだすことで始まります。これは通常1-2週間で自然に収まりますが、この発作を繰り返すうちに、足首や膝の関節炎も起こすようになり、発作間隔も短くなります。そして、尿酸は関節だけでなく、腎臓にも蓄積し、腎障害ももたらします。
発作が起こってしまったら医師に受診するのが一番ですが、受診までの間は、患部を冷やし、安静を保ち、お酒も断つことが必要です。
治療は、発作が起こってしまったら、尿酸値を下げる薬を始めたり、増やしたりせず、発作の初期であればコルヒチン、すでに腫れが出ているようなら消炎鎮痛剤の頻回多量投与をおこないます。
痛風は、尿酸が体に溜まって起きる病気ですから、その予防には血液中の尿酸を低く保てばいいわけです。尿酸は、食事に含まれるプリン体から作られるので、プリン体を多く含む食事を避ければ良く、具体的には、プリン体1日400mg以下が推奨されています。
プリン体を多く含む食品は、 レバー類(210~320mg/100g)、白子(300mg/100g)、エビ、イワシ、カツオ等(210~270mg/100g)で、乾燥品である干椎茸や魚の干物も高く注意が必要です。また、アルコール飲料は、含まれるプリン体量は多くありませんが、アルコールの作用で尿酸値が上昇するとされます。
2011年5月17日火曜日
めまい
今回は膠原病の話ではありません。
3月11日の東日本大震災後、私の外来でもめまいの患者さんが増えました。いわゆる「地震酔い」というやつです。めまいとは何かと言うと、目がかすみ目の前が暗くなること、ぐるぐる物が回ってみえたりすること、頭がくらくらすること、頭がくらくらして目の前が暗くなることなどの症状の総称です。これを、分かりやすくするため分類すると、回転性めまい、浮動性めまい、立ちくらみの3つにわけられます。先ず、回転性めまいは、自分の身体または大地があたかも回転しているかのような感覚があり、また嘔気を感じることもあり、大抵が、耳の奥(内耳:三半規管)の障害で起こります。次に、浮動性めまいは、回転しないよろめくようなふらつき感で、大抵は小脳の異常や高血圧で生じます。最後に立ちくらみや失神は、血の気が引き、意識の遠くなる感覚で(実際に失神に至ることもあり)、起立性低血圧や重症の不整脈で起こります。軽い回転せいのめまいは、刺激を避け安静にしていれば治ることが多いのですが、症状が重い場合や、1日経っても治らない場合などは耳鼻科受信が必要です。さて、「地震酔い」ですが、これは、基本的には回転性のめまいで、船酔いや車酔いと同じで、目から入る視覚と三半規管で感じる平衡感覚との間にずれが生じて起こる症状です。これは、船から降りたあと、地面が揺れている感じがするメカニズムと同じです。また、余震への心配がストレスとなり自律神経が興奮し、不眠や気分不快が出現するとされています。
余震が収束し、被災地の方々が一刻も早く日常生活に戻れることを祈っております。
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