膠原病(こうげんびょう、connective tissue disease:CTD、 Collagen disease)とは、一般に ①関節や筋肉・靭帯などの痛みを主な症状とし、発熱・倦怠感・レイノー現象などをともなうことがあり、②自分の免疫のシステムが自分を攻撃しておこる自己免疫疾患で、③その炎症の主な場が間質(細胞と細胞の間の組織)である病気の集団をさす名称です。 それらの疾患には、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性硬化症・全身性強皮症(SSc、PSSともいう)、皮膚筋炎(DM)、多発性筋炎(PM)、関節リウマチ(RA)、結節性多発性動脈炎(PN)、混合性結合組織病(MCTD)、シェーグレン症候群(SS)、顕微鏡的多発血管炎(MPA)などがあります。 膠原病は、その診断・治療に専門的知識を要することより、現在では日本リウマチ学会が定めるリウマチ専門医が主に診療しています。 膠原病は、難しい病気、恐ろしい病気と捉えられがちですが、ここでは、一般の方を対象に、そんな病気をやさしく解説し、また、役に立つトピックスを載せていくつもりです。杏雲堂病院内科・リウマチ科 山中健次郎
2010年7月15日木曜日
レイノー現象とは
レイノー現象は, 1862年Maurice Raynaudにより報告されました。寒さ、冷たさの刺激で引き起こされ、手の指が蒼白,紫色そして赤と変化し,10~30分で正常に戻る現象です。この現象は、寒冷や感情的なストレスにさらされるとそれが引き金となり、手の指の動脈が急激に収縮し細くなり閉塞を起こし、指先に血液が巡らなくなり蒼白(ロウのように白くなる)となり起こります。この現象の主要因子としては神経伝達や血管内皮細胞の反応の障害が考えられていますが、血中の細胞より産生されたホルモンやメディエーターの血管内皮細胞に対する作用も重要と考えられています。典型的なレイノー現象は、この蒼白に続き青紫色(チアノーゼ)と発赤と3色に変化するとされていますが、実際は3色揃うことはまれです。また色調の変化だけでなく発赤中(血流が戻ってくる時期)には、しびれ感や時として疼痛を感じます。 この現象は手指に好発しますが、手のレイノー現象のある患者さんの40%で足の指にも症状が出ているとされ、なかには臓器(心臓、腸管、網膜など)に起こることもあります。レイノー現象は何らかの原因疾患を伴わない健康な人に認められる一次性レイノー現象と他の疾患に伴って起こる二次性レイノー現象に分類されます。一次性レイノー現象は一般人口において女性の5.8%~20.2%、男性の4.1%~12.7 %に存在するとされています。レイノー現象が膠原病の一症状であるかは、膠原病の診断において非常に重要であり、一次性レイノー現象であるかどうかを確実に判断する必要があります。一次性レイノー現象は若年女性に好発し、手指の潰瘍・壊疽は認めないか、あっても表皮に限られる事が多とされています。逆に、指の先端部の皮膚の潰瘍化(陥凹形成)あるいは壊疽、爪郭(爪のあまかわ)の毛細血管の異常、リウマトイド因子(RF)、抗核抗体(ANA)、赤血球沈降速度(ESR)促進などの所見のある一次性レイノー現象の患者さんは、膠原病が発症する危険性が高いとされています。
ドライアイ
ドライアイは、涙が少なすぎるか、涙の成分に異常があり蒸発が早く目が乾燥してしまう状態のことを言います。角膜や結膜は乾燥すると、細胞が障害を受け目に傷を作り様々な症状をもたらします。その症状は、眼の異物感、乾いた感じ、かすみ、眼の痛み、かゆみ、ごろごろする感じ、まぶしい感じ、疲れた感じ、目やに、目の発赤、など多彩です。原因としては、涙の量自体が減少する涙液減少型と、涙の量自体は変わらず蒸発が早い蒸発亢進型と2つに分かれます。涙液減少型は涙を造る涙腺の機能の低下で、膠原病の1つである、シェーグレン症候群(中年以降の女性に多く、慢性の涙腺・唾液腺の炎症のためその機能が低下じ眼乾燥・口腔乾燥をみとめ、関節炎など合併する)や高齢者で見られます。後者の蒸発亢進型は涙の3成分(水・油・粘液)の何れかが減り蒸発が亢進するものと、瞬きが少なくなり、涙の分泌が低下するだけでなく、眼が空気にさらされる時間が多くなって、乾き易くなるものとが有ります。職場で問題となるのはこのタイプです。コンピュータなどのディスプレイを長時間集中し使用すると瞬きが少なくなってしまいドライアイが合併しやすくなってしまいます。
2010年7月6日火曜日
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