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2010年8月6日金曜日

紫外線

日本語の「日焼け」という言葉は紫外線により皮膚が赤くなる「サンバーン」と,その後黒くなる「サンタン」を含めて使われていますが,サンバーンは紫外線による皮膚のやけど、サンタンはその結果おこるメラニン増加です。紫外線は、太陽光線のなかで光として感じない光線です。色を感じることのできる可視光線の波長は、400-770nmで(nm:ナノ・メートルは10億分の1 メートル)、波長400nm付近は紫色ですが、紫外線の波長は400nm以下で、UVA(波長320-400nm)UVB(波長290-320nm)UVC(波長 200-290nm) と障害性の強さによりの三種類に分けられます。UVAはその約90%、UVBは約10%が地表に到達しますが、UVCは地表に到達しません。UVAは皮膚の深部まで透過し、皮膚の老化にく関与しています。UVBは皮膚への透過が浅く、皮膚表面に大きな影響を与え、サンバーンの主要原因であり、また、細胞の核内にあるDNAを直接障害します。なお、ガラスは、UVBのほとんど、UVAの半分をブロックします。紫外線の体に良い面としてはビタミンDの生合成があります。ビタミンDは紫外線の助けにより皮膚で合成され、その不足は骨粗鬆症を招きますが、日常生活で浴びる程度の紫外線で十分賄われ、通常の食物でも十分摂取できるので、まず不足することはありません。一方,紫外線の悪い面はたくさんあり、サンバーン、皮膚の光老化(シミ,しわ,皮膚の良性・悪性の腫瘍)、口唇ヘルペスの再発、皮膚の免疫反応抑制、白内障、紫外線角膜炎、翼状片(白目から組織が増殖して黒目に翼状に侵入する疾患)などがあります。さらにSLEなどの膠原病では,普通の人では何ら問題ない程度の日光でも色々な皮膚症状が出る光線過敏症の原因となり、その発病、活動性の増加を引き起こします。紫外線に対する対策を以下に示します。1、昼の日光をできるだけ避ける。2、紫外線を遮断するサングラスを着ける。3、帽子、日傘を使う。4、影の中に留まる。5、長袖・長ズボン、ロングスカート、カーデガンの着用。6、日焼け止めを皮膚に塗る。7、太陽灯や日焼け用機器などから避ける。7、紫外線予報を利用する。この中の日焼け止め剤について以下に簡単に述べます。日焼け止め剤の主要成分としては紫外線吸収剤と,散乱剤があり,これらが単独あるいは組み合わせて用いられています.吸収剤はまれにかぶれを起こすことがあるので,かゆみや赤みが生じたら,ノンケミカルとか吸収剤未使用などと表示されている散乱剤だけの製品に変更したほうが良いでしょう。ただし,強い遮断力を必要とする場合は,吸収剤入りの方が効果的です。日焼け止め剤の選択は、通常その性能がSFP,PAなどで記載されており、それを参考に行ないます(表:日焼け止め剤使用のめやす)。正しい使い方としては規定量(たとえば顔では真珠の玉2個分位)を全体にのばして塗り、3時間に1回くらい塗り替えるほうが確実です.塗る場所として顔はもちろんですが,意外と忘れやすいのはうなじや,耳たぶ,胸,首,手の甲です。また、夜にはきちんと専用のクレンジングなどで洗い落とすことが大切です.

日焼け止め剤使用のめやす
条  件
防御対象波長
防御効果
備  考

SPF
PA

日常生活
UVB
UVA
5
+
光老化予防

軽い屋外活動,ドライブなど
10
++
サンバーン,光老化予防

晴天下のスポーツ,海水浴など
20
+++
サンバーン,光老化予防.耐水性のあるもの

熱帯地方での屋外活動
30以上
+++