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2013年10月9日水曜日


本年も恒例のリウマチ・膠原病教室を11月16日佐々木記念ホールにて開催します。
ふるってご参加ください。

2012年3月31日土曜日

HbA1c



 ヘモグロビンは赤血球の中に大量に存在する蛋白で、身体の隅々まで酸素を運搬する役割を担っております。赤血球の寿命はおよそ120日(4ヶ月)といわれています。赤血球はこの間ずっと体内を巡って、血管内のブドウ糖と少しずつ結合します。一度結合すると離れません。高血糖の時、すなわち余っている糖が多ければ多いほどこの結合が増えグリコヘモグロビン(HbA1c)も多くなるわけです。したがって血液中のHbA1cのパーセント値は、赤血球の寿命の半分くらいにあたる時期の血糖値の平均を反映します。すなわち外来で血液検査をすると、その日から1~2ヶ月前の血糖の状態を推定できることになり、糖尿病のコントロールの指標となります。また、空腹時血糖値は正常、尿にも糖分が含まれていないが、食後に異常に血糖値が上がるという、見過ごされやすい糖尿病を診断する際にも大変役に立ちます。しかしながらこの、HbA1c測定には、我が国が従来使っていた測定法JDS値と、主に欧米で使われてきたNGSP値ががありました。そして、HbA1c測定のさらなる標準化・最適化と併せて,厚生労働省・日本糖尿病協会・日本医師会・保険者団体を初めとする関係諸団体との協議を重ね,平成2441日以降のHbA1c国際標準化について以下のように決定しました。①平成2441日から日常臨床でもNGSP値を用い,当面の間 JDS値も併記する。②特定健診・特定保健指導においては,平成2441日〜平成25331日の期間は,受診者への結果通知及び保険者への結果報告のいずれも従来通りJDS値のみを用いる.③平成2541日以降については,関係者間で協議し検討する.NGSP値はこれまでの JDS値におよそ0.4%加えた値となります。これまで、HbA1c6.5%(JDS)だった人は、糖尿病のコントロールが同じでも6.9%(NGSP)となります。糖尿病コントロールが急に悪化したと思い、過度な食事療法をしないように注意が必要です。

2011年9月15日木曜日


2011年リウマチ・膠原病教室のお知らせ。


2011年7月20日水曜日

痛風



 関節中の尿酸という物質濃度が高くなり、溶けなくなった尿酸が針のような結晶を作り関節炎を起こす病気です。風が当たっただけでも痛むところから命名されたとされます。痛風の歴史は古く、エジプトのミイラの関節に認められたという報告がありますし、西洋ではアレクサンダ-大王、ルイ十四世、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ビンチ、ゲ-テ、ニュ-トン、ダ-ウィンも痛風に苦しみました。皆、豪華な物を食べていたのでしょう。日本では明治になって初めて出現し、戦後急激に増え、現在では全国に数十万人の患者がいると推定されています。
痛風にかかるのは90%以上が男性で、初発症状は、ほとんどの場合、突然足の親ゆびの付け根の関節炎を起こし、赤く腫れて痛みだすことで始まります。これは通常1-2週間で自然に収まりますが、この発作を繰り返すうちに、足首や膝の関節炎も起こすようになり、発作間隔も短くなります。そして、尿酸は関節だけでなく、腎臓にも蓄積し、腎障害ももたらします。
発作が起こってしまったら医師に受診するのが一番ですが、受診までの間は、患部を冷やし、安静を保ち、お酒も断つことが必要です。
治療は、発作が起こってしまったら、尿酸値を下げる薬を始めたり、増やしたりせず、発作の初期であればコルヒチン、すでに腫れが出ているようなら消炎鎮痛剤の頻回多量投与をおこないます。
痛風は、尿酸が体に溜まって起きる病気ですから、その予防には血液中の尿酸を低く保てばいいわけです。尿酸は、食事に含まれるプリン体から作られるので、プリン体を多く含む食事を避ければ良く、具体的には、プリン体1400mg以下が推奨されています。
プリン体を多く含む食品は、 レバー類(210320mg/100g)、白子(300mg/100g)、エビ、イワシ、カツオ等(210270mg/100g)で、乾燥品である干椎茸や魚の干物も高く注意が必要です。また、アルコール飲料は、含まれるプリン体量は多くありませんが、アルコールの作用で尿酸値が上昇するとされます。

2011年5月17日火曜日

めまい

今回は膠原病の話ではありません。
3月11日の東日本大震災後、私の外来でもめまいの患者さんが増えました。いわゆる「地震酔い」というやつです。めまいとは何かと言うと、目がかすみ目の前が暗くなること、ぐるぐる物が回ってみえたりすること、頭がくらくらすること、頭がくらくらして目の前が暗くなることなどの症状の総称です。これを、分かりやすくするため分類すると、回転性めまい、浮動性めまい、立ちくらみの3つにわけられます。先ず、回転性めまいは、自分の身体または大地があたかも回転しているかのような感覚があり、また嘔気を感じることもあり、大抵が、耳の奥(内耳:三半規管)の障害で起こります。次に、浮動性めまいは、回転しないよろめくようなふらつき感で、大抵は小脳の異常や高血圧で生じます。最後に立ちくらみや失神は、血の気が引き、意識の遠くなる感覚で(実際に失神に至ることもあり)、起立性低血圧や重症の不整脈で起こります。軽い回転せいのめまいは、刺激を避け安静にしていれば治ることが多いのですが、症状が重い場合や、1日経っても治らない場合などは耳鼻科受信が必要です。さて、「地震酔い」ですが、これは、基本的には回転性のめまいで、船酔いや車酔いと同じで、目から入る視覚と三半規管で感じる平衡感覚との間にずれが生じて起こる症状です。これは、船から降りたあと、地面が揺れている感じがするメカニズムと同じです。また、余震への心配がストレスとなり自律神経が興奮し、不眠や気分不快が出現するとされています。
余震が収束し、被災地の方々が一刻も早く日常生活に戻れることを祈っております。

2010年10月14日木曜日

インフルエンザワクチン 2010年度

世界保健機関(WHO)は平成22年8月10日、今回の新型インフルエンザの世界的な流行状況が収束したことを意味する「ポストパンデミック(世界的大流行後)」という声明をだしました。 しかし、新型インフルエンザウイルスがなくなったわけではありません。 過去の経験では、流行後の翌年に再び流行することがあり、もこれからも新型インフルエンザの再流行が起こる可能性があります。実際、例年と比べ9月のインフルエンザの学級閉鎖は増えいて、8月23日-9月26日の5週間に新型インフルエンザウイルスが42件検出されています。本年度の国の対策としては、新型インフルエンザ(A/H1N1)と本年度流行が予測される季節性インフルエンザ(A/H3N2とB型)の3つに効果がある国産のワクチン(3価ワクチン)を用意しています。その量は、約5800万回分(約2900万本)で、接種を希望されるすべての方が接種を受けられる十分ものです。よって、昨年のように特に優先順位はありません。特に、高齢者、膠原病、糖尿病などの基礎疾患(慢性疾患)をおもちの方、免疫を低下させる治療を受けている方、妊婦などは、健康な成人よりも重症になる可能性が高いと考えられるので積極的に摂取を受けたほうがよいでしょう。さらに、平成21年度に新型インフルエンザにかかった方や、昨年新型インフルエンザワクチンを受けた方も、すでにいったん免疫が獲得されたと考えられますが、時間がたつにつれ、抗体価(免疫力をあらわす指標のひとつ)は少しずつ低下していきます。 ですから、今年度も早めにインフルエンザワクチンの接種を受けられたほうがいいでしょう。ワクチンには新型インフルエンザの発症をある程度おさえる効果や、かかっても重症になるのを防ぐのに一定の効果が期待できます。また、まわりの人に感染が広がるのをおさえる効果も期待できます。ただし、ワクチンだけで100%、新型インフルエンザを防ぐことができるわけではありません。「ワクチンをうったから、もう大丈夫」「絶対に新型インフルエンザにかからない」と考えず、手洗い、せきエチケットなど、基本的な対策とあわせて、新型インフルエンザの予防に努めてください。
【接種を受けることが適当でないと考えられる方】
(1)明らかに発熱している方
(2)非常に重い急性疾患にかかっている方
(3)接種を行うインフルエンザワクチンの成分によって急性のアレルギーを起こしたことがある方
【接種時に注意が必要な方】
(1)心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害、呼吸器疾患(気管支喘息など)などの基礎疾患をおもちの方
(2)以前にワクチン接種を受けたとき、接種後2日以内に発熱のみられた方、および全身性発疹などのアレルギーを疑う症状を起こしたことがある方
(3)過去にけいれんを起こしたことがある方
(4)過去に免疫不全の診断がなされている方、および近親者に先天性免疫不全症の方がいる方
(5)接種するインフルエンザワクチンの成分に対してアレルギーを起こすおそれのある方
(6)鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを起こすおそれのある方