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2012年3月31日土曜日

HbA1c



 ヘモグロビンは赤血球の中に大量に存在する蛋白で、身体の隅々まで酸素を運搬する役割を担っております。赤血球の寿命はおよそ120日(4ヶ月)といわれています。赤血球はこの間ずっと体内を巡って、血管内のブドウ糖と少しずつ結合します。一度結合すると離れません。高血糖の時、すなわち余っている糖が多ければ多いほどこの結合が増えグリコヘモグロビン(HbA1c)も多くなるわけです。したがって血液中のHbA1cのパーセント値は、赤血球の寿命の半分くらいにあたる時期の血糖値の平均を反映します。すなわち外来で血液検査をすると、その日から1~2ヶ月前の血糖の状態を推定できることになり、糖尿病のコントロールの指標となります。また、空腹時血糖値は正常、尿にも糖分が含まれていないが、食後に異常に血糖値が上がるという、見過ごされやすい糖尿病を診断する際にも大変役に立ちます。しかしながらこの、HbA1c測定には、我が国が従来使っていた測定法JDS値と、主に欧米で使われてきたNGSP値ががありました。そして、HbA1c測定のさらなる標準化・最適化と併せて,厚生労働省・日本糖尿病協会・日本医師会・保険者団体を初めとする関係諸団体との協議を重ね,平成2441日以降のHbA1c国際標準化について以下のように決定しました。①平成2441日から日常臨床でもNGSP値を用い,当面の間 JDS値も併記する。②特定健診・特定保健指導においては,平成2441日〜平成25331日の期間は,受診者への結果通知及び保険者への結果報告のいずれも従来通りJDS値のみを用いる.③平成2541日以降については,関係者間で協議し検討する.NGSP値はこれまでの JDS値におよそ0.4%加えた値となります。これまで、HbA1c6.5%(JDS)だった人は、糖尿病のコントロールが同じでも6.9%(NGSP)となります。糖尿病コントロールが急に悪化したと思い、過度な食事療法をしないように注意が必要です。